Zyngaの会計報告書をざっと見てみよう

Zyngaの会計報告書をざっと見てみよう(昨年の収入6億ドル、392%の増加)(7/1)




Zyngaはついに今日(7/1)IPOの申請を行う。

Zyngaの会計報告を見てみよう。



昨年の収入は6億ドルで9千万ドルの収益があった。
Zyngaの成長は信じられない勢いで、
2010年の収入は2009年の1億2150万ドルから392%増加した(2008年の収入は1,900万ドルであった)。





2011年の第一四半期だけでも2億3500万ドルの収入があり(年間9億4千万ドルのペース)、
2010年比では134%の増加である。


この収益成長が特に素晴らしいのは、
2010年7月からZyngaFacebook・creditに関係する全売上の30%をFacebookに支払い始めたにも関わらず、
これが瞬間的な軽い打撃に過ぎなかったことである。

連続する期の成長率は2010年の第三四半期の32%から2010年の第四四半期の15%へとスローダウンしたが、
2011年第一四半期には伸びが加速して20%となった。




投資家にとって良いニュースなのは、Zyngaが実際に利益をあげていることである。
2009年度に$5,300万の損失を記録した後、2010年には純利益$9千万へと好転させた。
そして、利益は2011年の第一四半期において84%成長し、$1,180万であった。






Zyngaの収益のほとんどは、バーチャル・グッズの販売から
(2011年第一四半期の収益の95%、残りは広告掲載による)のもので、
広告料の収益の第一四半期での成長率は321%で$1,300万となり、
オンラインゲームから収益の成長率は127%で$2億2200万であった。




Zyngaはブッキングスと呼ぶnon-GAAP方式(GAAPとはアメリカの会計基準)で報告している。
この意味でZyngaグルーポンのように、non-GAAPの独自の収入認識方式を採用して、
最近IPOを申請したネット企業の仲間に加わっている。




Zyngaの場合、2010年の収益は5億9,750万ドルであったが、
ブッキングスでは総計8億3,890万ドルと実際よりも40%高く報告されている。






Zyngaは収益を計上するタイミングを遅らせている。
これは実際に保守的な会計アプローチであり良いことでもある。
しかしZyngaは、本当はこう認識されるべきという収益をもって功績を認められたいと考えている。
これはZyngaが自社の会計を自賛する一種の方法だった。








ここでZyngaがS-1の中でブッキングスをどのように説明しているかを紹介しよう。






ブッキングスは非GAAPの財務方針であり、
当社のオンライン・ゲーム上のバーチャル・グッズの販売と広告収入を
販売時点ですぐに全ての収益を認識する場合に、認識されるべきもの総額を収益と定義している。





当社はバーチャル・グッズの販売を繰延収益として記録しており、
購入されたバーチャル・グッズの想定平均寿命の期間にわたって、
またはバーチャル・グッズが消費されたときに、収益として計上している。


広告収入も同様に扱われている。






下は投資家が注目するであろう他のいくつかの重要な指標だ(全ての数字は2011年3月31日時点のもの)。


・第1四半期収益総額:$2億3,540万
・オンラインゲーム収益:$2億2,240万
・オンライン広告収益:$1,300万
・現預金:$9億9,600万
・営業活動によるキャッシュフロー:$1億300万
・財務活動からのキャッシュフロー:$2億2500万
・デイリーアクティブユーザー:6200万人
・マンスリーアクティブユーザー:2億3600万人
・マンスリーユニークユーザー:1億4600万人
・従業員:2,268人








アクティブユーザーとユニークユーザーの違いは、
アクティブユーザーがゲームごとにカウントされるのに対して、
1人のユニークユーザーは複数のゲームをプレイしているかもしれない点である。


言い換えれば、アクティブユーザーのカウント数には重複カウントがある。
2011年の3月には1億4600万人がZyngaのゲームを1つ以上プレイした。
つまり、Zyngaは一四半期でアクティブユーザー一人当たり1.6ドルの収入があったことになる。









興味深いことに、Zyngaの第一四半期での財務活動のキャッシュフロー
営業活動のキャッシュフローの2倍になっている。
Zyngaの発表によると同社は第一四半期 の4億8,500万ドルの資金調達に関係して、
2億8,720万ドル分の有価証券を売却した
(しかしZyngaは同期間に2億6,100万ドル分の株式を買い戻している)。









【引用】「A Snapshot Of Zynga’s Financials: Revenues Grew 392 Percent Last Year To $600 Million」
http://techcrunch.com/2011/07/01/zynga-financials/







コメント:
国際間での会計基準の違いはややこしいですね。
日本はここでいうnon-GAAPに近いので、それで比べたときの収益は
DeNA>Zynga>GREEという感じになりそうです。
ただ一般投資家はそこまで深く会計基準を確認しない人も多いと思うので、
印象として日本の企業は有利かもしれませんね。