★ZyngaとFacebookの提携の詳細:ZyngaのトラフィックはFacebookが支えていた!?

Facebookの開発者のトラフィック・ターゲットはZyngaである(そしてほかのみんなも)?
2011年7月29日




今月、Zyngaが株式公開前にS-1申請の一部としてFacebookとの契約の条件を公開したときには、多くのソーシャルゲーム開発者が驚いた。なぜなら、Facebookがウェブとモバイルの両方のプラットフォーム上でZyngaのゲームのトラフィックを約束しているように見えたからだ。


文書によれば、FacebookZyngaの独占ソーシャル・プラットフォームを作ることに合意することで、代わりにFacebookZyngaが特定のウェブまたはモバイルのトラフィック・ゴールを達成したら独占関係はそれ以降適用しないことを保証する予定だと述べている。


しかし複雑なことに、ターゲットの数とキー条件は公開された文書では編集(塗りつぶし)されていて、Zyngaの競合他社、およびZyngaの公開株を買おうと考えている投資家たちは、それらの数字が本当は何を意味するのか、憶測するしかなかった。だからFacebookは0.01%の成長を約束したのかもしれないし、100%の成長を約束したのかもしれない。あるいは、より根本的には、何かはっきりしないもの、たとえばプラットフォームが全体的に特定のユーザー数まで成長することを約束しているのかも知れない。そして開発者は成長を単にその一部としてみているのかもしれない。ほかに情報がなく、私たちが話を聞いた他の開発者たちは、インパクトはかなりのものでしかも不公平だと見ている傾向にあった。




Facebookの回答


しかし今、Facebookは、Zyngaや他の開発者との特定の契約についてまだ論じていないが、実際に何が起こっているのか説明しようとしている。トラフィック・ターゲットは大事そうに見えても実際にはそれほど大事なことではない、とパートナーシップとプラットフォームマーケティングFacebookの副社長ダン・ローズは言う。「我々は、ひとつのデベロッパーを成長させるために他を犠牲にするようなことは、今までも、そして現在もしていません。我々がしてきたことは全てプラットフォームのためであり、素晴らしいゲームを開発したデベロッパーは、それらの製品から利益を得ることができるのです。」


彼はまたこう説明する。「Facebookは、開発者がこの契約書にサインしたからといって特定のトラフィック値に達することを特に約束はしていない。」あまり詳細については語らないが、彼はこうも言っている。「ターゲットはむしろFacebookがプラットフォームをどうやって成長させたいか、そして特定の開発者がどうやって成長から利益を得るかのアウトラインを作ることだ。」実際、Facebookの展望では、開発者がみなこのタイプの契約書にサインしてくれれば喜ばしいのだ。


全体的に、Zyngaの主なトラフィック成長は、Zyngaがさまざまな反復的シミュレーション・タイトルをリリースして積極的なバイラル拡散戦略、Facebook広告使用、既存タイトルからのクロスプロモーションを通してそれを成長させた2009年に起こった。それ以降、Zyngaトラフィックは新ゲームのリリース時を除いては、DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)カウント(補充書類の中では「マンスリー・アクティブ。ユーザー」のターゲットではないとしている)の合計では全体的にトラフィックが下降しており、2009年のピークをその後一度も超えていない。


一方他の開発者は、Zyngaトラフィックにまつわる変わった行動を、それが何らかの特別な利益を生むのだろうか?と観察していた。




例1:CityVilleが2010年11月にスタートしたとき、Zyngaにはたくさんの要素がなだれ込んできた。この匿名のQuoraユーザーは言う。リリース時、Facebookは新しいバイラル・チャンネルのテストを開始していた:つまり通知としてのリクエストだ。私たちの理解によれば、他の何人かの開発者たちがこの機能に同時にアクセスし始めている間に、当時新しかった機能がCityVilleが初期のトラフィックの重要な波を得る手助けとなっていた。そうしてCityVilleのトラフィックを非ゲームユーザーに公開してしまうというバグが3日間起きた。Facebookが何ヶ月か前に停止した何かだ。それはまるで、私たちや他の人たちが同時に観察していたように、Zyngaがeメール上の特定のスパム制限を打破しようとしているように見えた。


しかしこれらの例が何か特別な意味があるのか?補足書類はリリースの数週間後12月末にサインされたばかりで、CityVilleのスタートはその補足書類の内容にカバーされていなかった。そして上記のそれぞれの例は説明がつく。ニュースフィードの問題はアクシデントだった−私たちはFacebookが今までにも意図的にバグを導入したことがあるのではないかと疑っている。そしてeメールのスパムがある限り、Zyngaはいくらかのプラットフォーム違反を犯していた可能性がある。そうだとしたら、ユーザーのフィードバックに基づいてアルゴリズム的に減らされた招待割り当てのような、Facebookの昔からの条件実施手法にぶつかっていたかもしれない。


Facebookは新機能をユーザーベースに結びつける前に何人かの開発者に新機能のテストを行う」とローズは言う。




例2:当社のAppDataトラッキングサービスによれば、何人かの開発者が、最新のFacebookゲームの Empires & Alliesは4,500万人にわずかに届かないペースでマンスリー・アクティブ・ユーザーによるトラフィックがほぼ平坦に推移していることを指摘している。推測されるのは、放置してユーザー数が減少しないようにFacebookがこれらの数値をいくらか下支えしているのではないかということだ。





しかしそれは論理の飛躍だ。Zyngaは広告を流すとか、クロス・プロモーションを後押しするとか、ほかの通常努力でユーザー数を一定レベルに保つためにいろんな方法をとることができたはずだ(とはいえ、この見事な平坦さは簡単に作り出せるものではない)。




≪結論≫

Facebookはどんなケースでも大きいゴールを達成しているように見える。Zyngaは昨年、Zyngaのゲームを他のソーシャルネットワーク、たとえばTaggedやマイスペースに持って行こうとし始めた。今月末に中国本土でTencent上でZyngaCityをリリースしたのを除いて、Zyngaの全てのソーシャル・プラットフォームのリリースは、少なくとも当社が知る限りFacebook上で行われている。そしてFarmVille.comなどのウェブベースのZyngaゲームと関連するモバイルアプリも、他のソーシャル・プラットフォーム・プロバイダーに頼るよりも補足書類の中で説明されているFacebookへの統合を表している。


概して、私たちはまだ契約書の全ての詳細を知らない。しかし少なくともFacebookは今自ら説明しようとしている。そしてこの点については、別の結論を導く説得力のある証拠はまだない。


「成長のターゲットや、ほかの何ものにも、特別な利点はない。それだけだ。」彼はそう強調する。では何か特別な利益の証拠があるのか?





【引用】"What Do Facebook’s Developer Traffic Targets Really Mean for Zynga (and Everyone Else)?July 29th, 2011"
http://www.insidesocialgames.com/2011/07/29/what-do-facebooks-developer-traffic-targets-really-mean-for-zynga-and-everyone-else/





コメント
FacebookZyngaトラフィックを支えていたかどうかの真相は分かりませんが、プラットフォーマーが有力なデベロッパーを囲い込むのは自然なことです。集客の殆どを、プラットフォーマーに頼らざるをえない多くのデベロッパーにとっては、プラットフォーマーのバックアップは助けになり、プラットフォーマーは自社の意図にそったコンテンツをデベロッパーに作ることを依頼し、自プラットフォームのユーザー満足度を高めると共に、収益の一部を手数料としてとれるためWin-Winの関係が築けます。
しかし、プラットフォーマーが手放したくないほどのコンテンツ力を持つZyngaが、Facebookに依存する理由は一つで、Facebookと並ぶプラットフォームが他にないからです。
そのためFacebookZyngaは互いに依存し合っています。Facebookと並ぶプラットフォームが出てくるか、Zyngaとならぶデベロッパーが出てくるか、そのときが本当の戦いの始まりです。